私の方針は『自分のコピーを作るつもりは無い』ですが、こんな経験があります。
私は昔、アラブ世界の一国で柔道のコーチを務めました。ここで、アラビア・チャンピオンを育て上げ、任国を離れたのですが、かなり時間が経ってから、又この国を訪ねてみると、益々強くなった教え子が待ちかまえていました。
彼は『先生!俺と勝負してくれ!』と、試合を挑んで来ました。私の方は既に最盛期を過ぎ、指導者としての立場に軸足を移して久しかった時期です。
私は愛弟子を抑え込んで、なんとか師匠の面子を保ちましたが、そのとき『ああ!もしも、タイム・マシンがあり、過去に、さかのぼって、若き日の自分自身と闘えば、斯くの如きかも知れない』と云う感情を抱きました。
まさに、自分のコピーと闘った気分でした。
彼は、そのままでは終わらず、私以外の先生達からも様々な指導を受け、自ら工夫し、オリンピックの銀メダリストにも勝ち、国際的な柔道家に成長して、私のコピーから脱却し、私と云う〝師匠〟越えを果たした訳です。
これは合気道でも同じ事です。
合気道洗心館では館長の私だけでなく〝先生〟役をする人が複数存在します。
先生各々で教える事、教え方が違うかも知れませんが、戸惑いを承知の上で悩みながら学んで下さい。
そして、できるだけ、出稽古にも積極的に挑んでほしく思います。
きっと、総てが血となり、肉となりますよ。

色んな先生から習う事
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